行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
障害福祉サービス事業所の運営指導に向けて、直前期の準備から当日の最終確認、行政担当者への受け答えまで、実務上のポイントを解説します。想定問答集の作成、書類をすぐに取り出せる体制づくり、掲示物や個人情報の確認方法に加え、指摘を受けた際の対応や当日の記録の残し方も紹介。日ごろの運営改善につなげるための具体的な準備方法が分かります。
運営指導の直前期にやっておきたいこととしては主に、当日の受け答えの練習と、書類をすぐ出せるように整備することが挙げられます。
まずは当日の受け答えの練習についてです。
当日は基本的に、管理者やサービス管理責任者または児童発達支援管理責任者が指定権者の担当者からの質問に答えます。慣れない場で緊張すると、話が長くなったり、聞かれていないことまで説明してしまったりしがちです。「個別支援計画はどのような流れで作成していますか」「委員会はいつ開催していますか」など、聞かれそうな質問をまとめた想定問答集を作りましょう。それを使って、短く答える練習をしておくと安心です。練習では、余計なことを言わず、聞かれたことだけを簡潔に答えるよう意識します。
次に、求められた書類をすぐに出せる体制を整えます。「あれはどこだっけ?」と探す時間が長いと、それだけで書類の管理体制に不安を持たれてしまいます。書類は項目ごとにまとめてインデックス(見出し)を付け、開けばすぐ目的のページが見えるようにしておきましょう。また、どの棚のどのファイルに何があるかをまとめた書類所在表を作って手元に置いておくと、担当者以外の職員でも対応できます。パソコンの画面で見せる書類は、該当するフォルダのショートカットをデスクトップに作り、数秒で開けるようにしておきましょう。
また、利用者ごとの書類は全員分を見られるのではなく、「3人分見せてください」と求められることがあります。もちろん、全員分の書類が完璧である必要がありますが、こういったときには書類が最もきちんと整っている利用者のファイルを最初に出せるよう準備しておくのもひとつの方法です。最初に見せた書類がしっかりしていれば「きちんと運営している」という印象につながります。反対に、最初の書類で不備が見つかると、「他の利用者の分や他の書類も整っていないのではないか」という印象を持たれる可能性があります。ただし、担当者が特定の利用者を指定した場合は、その指示に従うようにしてください。
当日は、指定権者の担当者が定刻よりも早く到着する可能性があります。できれば開始1時間前には事業所に着くようにし、最終確認をしましょう。
最終確認では、まず個人情報が目に入る場所に出ていないかを見ます。机の上に利用者名簿やケース記録が出しっぱなしになっていないかを確認してください。次に、運営規程の概要、重要事項、苦情受付窓口、勤務体制などの掲示物が、最新の内容で掲示されているかを確かめます。掲示物は担当者が最初に目にするものの一つです。また、不要なゴミや私物が散らかっていないかなど、整理整頓の状況も見直しましょう。最後に、書類をすぐに出せる状態になっているかを確認します。
立会いでは、聞かれた内容に対し、事実に基づいて答えるのが原則です。推測で答えたり、聞かれていない補足を加えたりすると、新たな指摘のきっかけになることがあります。沈黙を気にしすぎず、質問を最後まで聞いてから答えましょう。分からないことは、その場で推測で答えるのではなく、「確認してお答えします」と伝えれば大丈夫です。
不備があることを自覚していても、聞かれていない段階で次々に自分から申告する必要はありません。ただし、質問されたことに事実と違う回答をするのは絶対に避けてください。虚偽の説明は、不備そのものよりもずっと重大な問題になります。また、不備を指摘されたときに言い訳を重ねたり、強く反論したりするのは逆効果です。事実であれば素直に認め、改善する姿勢を示しましょう。指摘の根拠に疑問がある場合は、根拠となる通知などを確認させてほしいと冷静に伝えてください。
当日は、質疑応答の内容、口頭で受けた指導、担当者が確認した書類を必ず記録しておきましょう。同席する職員の中から記録係を決めておくと確実です。緊張していると、何を言われたのかを後で思い出せないことがよくあります。記録があれば、結果通知が届く前から改善に取りかかれますし、通知の内容が当日の説明と違う場合に確認する材料にもなります。
運営指導の直前期には、想定問答集での受け答えの練習と、書類をすぐ出せる体制づくりを進めましょう。
当日は早めに到着して、個人情報の管理、掲示物、整理整頓、書類の取り出しやすさを最終確認します。
受け答えは、聞かれたことに事実に基づいて短く答えるのが基本です。指摘されたことは素直に受け止め、当日のやり取りは記録に残しておきましょう。
そして、運営指導が終わった時点から、次の運営指導への準備が始まります。指摘がなかったからといって、完璧だったとは限りません。終わったら記憶が新しいうちに反省会を開き、口頭で指導されたことや今回の運営指導を振り返って出来ていなかったことなどを振り返り、改善しましょう。「なぜ日ごろからできなかったのか」を分析し、日常の業務の流れに組み込むようにします。そうすれば、次の運営指導では直前に慌てる必要がなくなります。運営指導は、日頃の事業所運営の状態を振り返るいい機会です。
日ごろの運営をきちんと積み重ねることが、最も確かな運営指導対策です。
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