行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
障害福祉サービス事業所の運営指導で必ず確認される「個別支援計画の作成手順」を解説する記事です。指定基準で決められている流れは、アセスメント(面接)、原案の作成、担当者会議、説明・同意・交付、モニタリングの順です。記事では、この流れに加えて、令和6年度の報酬改定で変わった点(担当者会議への本人参加が原則になったこと、相談支援事業者への計画の交付)と、モニタリングの頻度を整理しています。個別支援計画未作成減算の仕組みも説明します。そのうえで、面接の記録がない、原案を上書きして最終版しか残っていない、同意の日付が会議より前になっている、計画期間が切れている、前回の計画のコピーのまま、といった指摘されやすい例を取り上げます。手順を踏んだことを記録で証明するための、具体的な管理方法も紹介します。
個別支援計画は、利用者支援の根拠となる非常に重要な計画です。運営指導では、計画があるかどうかだけでなく、決められた手順を正しい順番で踏んで作られているかが確認されます。手順に不備があると、計画が作られていないものとみなされ、個別支援計画未作成減算の対象になることもあります。
指定基準では、サービス管理責任者(児童系は児童発達支援管理責任者)が、次の手順で個別支援計画を作ると定めています。
まず、利用者に面接してアセスメントを行い、利用者の希望や生活全般の課題を把握します。面接の際は、その趣旨を利用者に説明し、理解を得ることが求められています。
次に、アセスメントをもとに個別支援計画の原案を作ります。
その原案について、サービスを提供する担当者などが集まる会議を開いて意見を聴きます。令和6年度の報酬改定で、障害者サービスにおいては原則として利用者本人も参加することになりました。
サービス担当者会議を経て個別支援計画の本案を完成させたら、利用者や家族に説明して同意を得て、これを交付します。令和6年度からは相談支援事業者への交付も求められていますので、相談支援事業者へ交付した記録も残しておくようにしましょう。
個別支援計画に沿ってサービスの提供を行った後は、モニタリングを行います。モニタリングは少なくとも6か月に1回以上(自立訓練や就労移行支援などは3か月に1回以上)行い、必要に応じて計画を見直します。モニタリングの際も、利用者との面接が求められます。
これらの手順が守られていない場合は、個別支援計画未作成減算の対象となります。該当する月から2か月目までは所定単位数の30%減算、3か月以上続くと50%減算という、非常に大きい減算率が設定されています。
よくある指摘は、面接の記録がないケースです。アセスメントやモニタリングを行ったと言っても、いつ、誰が、誰と面接し、どのような内容を確認したのかが記録されていなければ、実施したことを証明することができません。面接の日時、場所、聞き取った内容などを必ず記録しておきましょう。
個別支援計画の原案を修正した際にそのまま上書き保存してしまい、個別支援計画の原案が残っていないというケースも目立ちます。個別支援計画の原案作成→サービス担当者会議→個別支援計画の本案という流れを証明するには、原案そのものが残っている必要があります。原案は上書きせず、日付を付けて別のファイルとして保存しましょう。
サービス担当者会議をやっていない、議事録がないというケースも多いです。議事録には、日時、参加者(本人の氏名も忘れず!)、原案に対する検討内容、原案から変更する点を残すようにしてください。
職員会議のついでに行われた申し送り程度ではサービス担当者会議を行ったとはいえませんので、きちんと分けて開催するようにしましょう。
手順の不備もよくある指摘のひとつです。サービス担当者会議の日より前の日付で本人の同意を得ているなど、日付の順番が逆になっているケースは、手順を守っていないと判断されます。
6か月(3か月)以内に見直しができていないといった、見直しの遅れも見逃せません。モニタリングの時期を一覧表で管理し、期限の1か月前には準備を始めるようにしましょう。モニタリングで確認した利用者の変化を、次の計画の目標や支援内容に反映させることが大切です。前回と全く同じ内容の個別支援計画を見かけることがありますが、適切な内容になっているか、しっかり確認するようにしてください。
個別支援計画は、アセスメント、個別支援計画の原案作成、サービス担当者会議、個別支援計画本案の説明・同意・交付、モニタリングという順番を守ることが絶対条件です。それぞれの手順の日付と内容を記録に残し、原案や議事録、交付の控えを保存しておくことで、手順を踏んだことを証明できます。
まずは数名分の計画を選び、日付の順番が正しいか、面接や会議の記録がそろっているかを点検してみてください。計画の見直し時期を一覧で管理しておけば、減算のリスクを大きく減らすことができます。
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