行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
就労継続支援B型事業所における「目標工賃達成加算」とは何かを解説します。算定要件、工賃目標の設定基準、計算式の読み方、実際に加算を取得するためのポイントまで、わかりやすく整理しました。
目次
目標工賃達成加算とは、就労継続支援B型事業所が利用者の工賃向上に積極的に取り組み、設定した目標工賃を実際に達成した場合に算定できる加算です。単に工賃が上がればよいというものではなく、これから説明する要件をすべて満たす必要があります。計算方法が少々複雑ですが、計算式に当てはめればそこまで難しいものではありませんので、要件を正しく理解して適切に算定するようにしましょう。
まず前提として、「目標工賃達成指導員配置加算」を算定していることが必要です。この加算は、工賃向上のための専任または兼任の指導員を適切に配置することで算定できるものです。目標工賃達成加算はこの加算と一体的に機能しているため、未算定の事業所はまずここから整備を始める必要があります。目標工賃達成指導員配置加算についての記事はこちら。
各都道府県が作成する工賃向上計画に基づき、事業所自らも工賃向上計画を作成することが必要です。ここまでは目標工賃達成指導員配置加算と同じです。そのうえで、計画に掲げた工賃目標を実際に達成していなければなりません。計画の「作成」だけでは不十分で、「達成」まで求められる点が目標工賃達成加算のポイントです。
設定する工賃目標は、単に「昨年より上げれば良い」というものではありません。定められた算式に基づいて、一定水準以上の目標を設定しなければ加算の対象となりません。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1(令和6年3月29日)の問58で、目標工賃達成加算の確認方法が具体的に示されています。以下の2つの要件を両方とも満たすことが必要です。
① ≧ ③ +(④ - ⑤) (※④-⑤がマイナスの場合は0として計算)
①・・・工賃向上計画における工賃目標
③・・・目標年度の前年度における事業所の平均工賃月額(実績)
④・・・目標年度の2年度前における全国平均工賃月額
⑤・・・目標年度の3年度前における全国平均工賃月額
この計算式の意味を噛み砕くと、「自事業所の前年度の平均工賃に、直近2年間の全国平均の伸び幅を加えた額以上を目標として設定すること」が求められています。
全国平均の動向を反映させることで、”形式的に低い目標を設定して達成する”という事態を防ぐ仕組みです。なお、④-⑤がマイナスになる場合(全国平均が下がっている場合)は0として扱い、事業所の工賃が前年度を下回らないことが最低条件となります。
② ≧ ①
②・・・目標年度の事業所の平均工賃月額(実績)
①・・・工賃向上計画における工賃目標
要件の①で「適切な水準の目標」を設定したうえで、要件の②でその目標を「実際に達成」することが必要です。この2つの要件が揃って初めて、目標工賃達成加算の算定が認められます。
目標工賃達成加算は、①目標工賃達成指導員配置加算の算定、②都道府県の工賃向上計画に基づく自事業所計画の作成と目標達成、③国が定める算式に基づく適切な目標水準の設定という3つの要件を満たすことで算定できる加算です。
特に注意が必要なのは、目標の「設定水準」と「達成」の両方が問われる点です。目標を低く設定して達成するだけでは認められず、全国平均の伸びを考慮した一定以上の目標を掲げ、かつそれを実現することが求められます。
この仕組みは、利用者の工賃向上に真剣に取り組む事業所を適切に評価するための制度設計といえます。 加算の算定に向けては、工賃向上計画の内容・目標設定の妥当性・実績管理の方法など、複数の観点から整備が必要です。
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