行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
障害福祉サービス事業所の運営指導で指摘されやすい「事故発生時の報告」について解説する記事です。まず、指定基準で求められる対応(都道府県・市区町村・家族などへの連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録、損害賠償)を整理しています。次に、自治体の要綱で決められている報告対象の事故(死亡、受診や入院が必要なけが、誤嚥・誤薬、行方不明、感染症・食中毒など)と、第一報から書面報告までの流れを紹介します。そのうえで、軽いけがや誤薬を報告しない判断ミス、職員の間で報告基準が共有されていない、家族への連絡の記録がない、といった指摘されやすい例を取り上げます。最後に、事故対応マニュアルとフローチャートの整え方、ヒヤリハットを使った再発防止まで、実務の目線で解説します。
事故発生時に事業所に求められる対応とは指定基準では、利用者へのサービス提供で事故が起きたときの対応として、3つのことを定めています。1つ目は、都道府県、市町村、利用者の家族などに連絡し、必要な措置を講じること。2つ目は、事故の状況と、事故に対して取った処置について記録すること。3つ目は、賠償すべき事故が起きた場合は、損害賠償を速やかに行うことです。
事故の記録は、基準に沿って一定期間(多くの場合、5年間)保存する必要があります。 どのような事故を、いつまでに、どのような方法で行政に報告するかは、各指定権者ごとに定められています。一般的には、死亡事故、医療機関での受診や入院が必要なけが、誤嚥や誤薬、利用者の行方不明(無断外出)、職員の不祥事や法令違反、感染症や食中毒の発生などが報告の対象です。
第一報はすぐに電話などで行い、その後に書面で報告するという流れが多く見られますが、指定権者によって様々ですので、指定権者のホームページなどを確認するようにしましょう。いざ事故が起きてからではパニックになってしまう可能性が高いので、平時から備えておき、いざというときにすぐ対応できる体制を整えておくことが大切です。
運営指導で指摘されやすいポイントと具体的な対策よくある指摘の一つは、報告すべき事故の報告漏れや遅れです。「報告が必要とは思わなかった」「軽いけがだと思った」「家族が了承していたので報告しなかった」といった判断で、報告が必要な事故が報告されていないケースです。実際にはけがにつながらなかったように見える事故でも報告対象になることがあります。指定権者と利用者の支給決定を行う市区町村の報告すべき基準を確認し、事故対応マニュアルに報告対象を具体的に書いておきましょう。
次に多いのが、報告の手順や基準が職員の間で共有されていないケースです。夜間や休日に事故が起きたとき、現場の職員が「どこまで報告すべきか」で迷い、対応が遅れることがあります。事故が起きてから報告までの流れをフローチャートにして掲示し、管理者への連絡、医療機関への受診、家族への連絡、行政への報告の順番と担当者を明確にしておくと、慌てずに動けます。
家族への連絡が記録に残っていないという指摘も目立ちます。行政への報告だけでなく、家族にいつ、誰が、どのような説明をしたのかを記録しておきましょう。
あわせて、事故報告書をもとに原因を分析し、再発防止策を職員に共有することも重要です。大きな事故にはならなかった「ヒヤリハット」の事例を集めて分析すれば、事故を未然に防ぐことにもつながります。
まとめ事故対応で大切なのは、報告対象となる事故の基準を明確にし、職員全員が同じ判断で動けるようにすることです。
事故対応マニュアルとフローチャートを整え、行政と家族への連絡、事故の記録、再発防止策の検討までを一連の流れとして記録に残しましょう。報告の基準や様式は自治体によって異なるため、最新の要綱を確認しておくことも欠かせません。
日ごろからヒヤリハットを共有し、事故が起きにくい環境づくりを進めていきましょう。
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