行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
障害福祉サービス事業所として指定を受けた後も、事業運営においてはさまざまな「届出」が求められます。変更届や体制届、処遇改善加算の届出、情報公表制度など、期限を守らなければ指導や報酬減算の対象となることも。本記事では、札幌市基準をもとに、指定後に必要な主な届出と実務上の注意点をわかりやすく解説します。
指定申請書類の提出が終わり、障害福祉サービス事業所としての指定を受けると「やっと一安心」と思われるかもしれませんが、指定を受けた後も事業所の状況に応じて様々な届出をする義務があります。
必要な届出を怠ると運営指導で指摘を受けたり、また、加算が取れる状態になっているにもかかわらず届出を行わないことで、貰えるはずの報酬が受け取れなかったりという事態もありえます。
今回は、障害福祉サービス事業所における指定後の主な届出事項について、実務のポイントも交えながら詳しく解説していきます。 提出忘れや提出遅れで困ることがないよう、ぜひ最後までお読みください。
なお、今回の記事は札幌市の基準に基づいて書いていますので、事業所の所在する自治体での取り扱いがどのようになっているかについては、必ず各自治体に確認するようにしてください。
目次
変更届は、指定時に届け出た内容に変更が生じた場合に提出が必要な届出です。
変更届は、変更内容によって提出期限が異なります。
変更日から10日以内に提出が必要な変更
管理者やサービス提供責任者の変更、連絡先の変更など、ほとんどの変更届は変更後10日以内の届出です。
変更日の1ヶ月前までに提出が必要な変更
事業所の所在地の変更、定員の変更など、利用者や関係機関への影響が大きい事項に関しては締切が早めに設定されています。
また、事業所の所在地が変更になる場合は設備基準を満たすかの確認も必要となってくるため、事前に開設が可能な地域であるかの確認や、平面図を用いた確認が必要です。
事業所の廃止や休止は、現在サービスを利用している方々の生活に直接影響する重大な変更ですので慎重に判断する必要があります。
これらの届出も1ヶ月前までに提出が必要となっていますが、単に届出を行うだけでなく、利用者にサービス提供を継続するための連絡や調整も必要です。
相談支援専門員や関係機関との連携、受け皿となる他事業所の確保、利用者・家族への丁寧な説明など、利用者への配慮を最優先に進めることが重要です。計画的かつ責任を持って対応しましょう。
報酬算定に関わる加算・減算や体制要件の変更があった時や、毎年度の初め(4月)に提出が必要です。
報酬に直接影響するため、事業所の経営面において極めて重要な手続きとなります。
基本的に、新たに加算を算定する場合(報酬が増える場合)は加算を算定したい月の前月15日までに提出する必要があります。
算定していた加算の要件を満たさなくなった場合(報酬が減る場合)は要件を満たさなくなったら届出を行う必要があります。
例外として、食事提供体制加算を取得する場合は届出日以降の適用を申し出た日から適用されます。
障害福祉サービス事業者の指定の有効期間は6年間となっています。
指定の継続を希望する場合は、有効期間満了の30日前までに更新申請を行う必要があります。
6年間は長いようであっという間に過ぎてしまいますので、届出を忘れないように気をつけましょう。
全ての障害福祉サービス事業者には法令遵守等の業務管理体制の整備と届出が義務付けられています。
事業所の数や規模に応じて、法令遵守責任者の選任、法令遵守規程の整備、業務執行の状況の監査の定期的な実施など、整備すべき内容が変わります。
届出事項に変更があった場合は変更届の提出が必要です。
処遇改善加算を算定する場合は、毎年、年度当初に計画書を提出し、年度ごとに実績報告を行う必要があります。 年度途中から新たに算定する場合は算定を開始する月の前々月の末日まで、算定の区分を変更する場合は、前月15日までに届出を行う必要があります。
年度途中に取得している処遇改善加算の区分が変更になったなど、計画書の内容に変更があった場合は変更届の提出が必要です。
特定のサービス種別(生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)において、 事業運営上の理由から利用日数が原則を超える支援が必要な場合に、毎年度提出が必要な届出です。
障害福祉サービス等情報公表制度により、障害福祉サービス事業所は事業所の情報やサービスの内容などを報告することが義務付けられています。報告を行っていない場合は報酬の減算対象となります。
新規で指定を受けた後、2ヶ月以内に登録する必要があります。また、それ以降も毎年度更新が必要です。公表している内容に変更があった際にも忘れず更新するようにしましょう。
各届出には期限と要件が設定されています。
届出を怠ったり期限を過ぎたりすると指導の対象となったり、最悪の場合は指定取り消しなどの重い処分を受ける可能性もあります。
事業所の状況を把握し、変更事項があれば速やかに対応するように心がけましょう。
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