行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[開業ガイド]
この記事では、就労継続支援B型の開業において一番の難所である人材(主にサービス管理責任者)の採用の現実や採用のためのコツについてわかりやすくお伝えします。
求人サイトに掲載してから半月ほど経ちましたが、サビ管の応募が一件も来ません……
職業指導員などは数件ほど応募があり、面接の予定も入ってきているのですが……。
相談者
中島さん(仮)
中島さん、追加の対策を講じましょう。自社のホームページは作りましたか?
行政書士
安田大祐
ほかのことで忙しくて、つい後回しにしてしまっていて……まだ作っていません。
相談者
中島さん(仮)
求職者は必ず会社のホームページを確認しています。
事業所の理念、代表の想い、職場環境、これらが伝わらないと応募しづらいんです。
今すぐ作りましょう!!
行政書士
安田大祐
そうですよね、わかりました。すぐ作ります!
相談者
中島さん(仮)
それから、地元の求人情報誌やインディードなど、できるだけ多くの媒体で露出を増やしてください。
そして、人材紹介会社の利用も検討してください。
行政書士
安田大祐
うーん、人材紹介会社ですか……ものすごくお金がかかりますよね……
相談者
中島さん(仮)
開業が1ヶ月遅れたら、1ヶ月分がまるまる機会損失になります。
サビ管が見つからなくて、何ヶ月も開業が延びてしまうこともあるんです。
費用がかさんでしまうことは承知していますが、人材紹介会社を使えば採用の可能性がぐっと高まります。
行政書士
安田大祐
そうですね、ここは投資と思ってやります。
相談者
中島さん(仮)
7月の終わり、ついに中島さんのもとに人材紹介会社から連絡がありました。
中島さんは面接の約束を取り付け、サービス管理責任者として働けることを確認したうえで採用を決め、候補者の方から内定の承諾を得ることができました。
リブレさん、ついにサビ管をしてくださる方が決まりました!
本当にありがとうございました。アドバイスをくださらなかったら、今も採用できていなかったと思います。
相談者
中島さん(仮)
いえ、諦めずに動き、人材紹介会社に登録する決断をしてくださった中島さんの努力です。
サビ管の採用は本当に難しくて、ここで挫折して諦めてしまう人もいるんです。
職業指導員と生活支援員も決まりましたか?
行政書士
安田大祐
はい。職業指導員は食品製造の経験がある男性を正社員で、生活支援員は福祉の経験がある女性2名をパートで採用しました。
相談者
中島さん(仮)
スタッフが揃ったら、営業開始に向けての準備も大詰めです。そしていよいよ、指定申請の段階に進みます。
ここまで、主にサービス管理責任者の採用について紹介してきました。
就労継続支援B型の開業に必要な人員は、以下の通りです。
就労継続支援B型の必要人員(定員20名の場合)
- 管理者(1名)
- サービス管理責任者(常勤、1名以上)
- 職業指導員(1名以上)
- 生活支援員(1名以上)※職業指導員または生活支援員のうち、1名以上は常勤
新規指定時は定員の90%を推定数とするため、18名の利用者がいるとみなします。
利用者10名に対して1名以上の職員が必要であるため、最低でも18÷10=1.8人以上の職員を揃える必要があります。
サービス管理責任者が見つからないことで何ヶ月も開業が遅れてしまったり、ここまで来て挫折してしまったりすることがあります。
サービス管理責任者が見つからない問題には、いくつか原因があります。
1つ目は、法改正の影響です。
第6話の記事でも触れましたが、法改正によって、原則として基礎研修の受講した後に2年間のOJTを行い、そのうえで実践研修まで終えなければサービス管理責任者になることができなくなりました。
一部の方についてはOJTを6ヶ月に短縮できる措置が導入されたことや、年月の経過で実践研修まで終えられた方も少しずつ増えてきましたが、それでも、サービス管理責任者の採用は引き続き難しい状況が続いています。
2つ目は、要件の難しさです。
サービス管理責任者の要件には資格、実務経験、研修受講とあり、非常に複雑です。
サービス管理責任者の求人に応募してくる人が、必ずしもサービス管理責任者の要件を満たしているとは限りません。
しっかり確認をしないまま採用したら、実はサービス管理責任者の実務経験を満たさない人だったという事例や、サービス管理責任者だったが更新研修を受け忘れていて、サービス管理責任者の資格を失ってしまっていたという事例もありますので、確実に要件を満たしている人を採用するという意味でも難しい側面があります。
また、過去の職場が実務経験証明書を出してくれないというケースもあります。
リブレでは、採用前に資格者の資格要件の確認を行います。履歴書や資格証、実務経験証明書などをご共有いただき、必要な条件を満たしているかチェックさせていただき、採用して問題ないかどうかお伝えいたします。
3つ目は、求人についてです。
会社の様子や働くイメージが分からないと応募しづらくなります。
ホームページやSNSのアカウントを作る、求人広告に事業所の写真を掲載するなど、オープンな雰囲気を出すようにしましょう。
また、待遇について、近隣の事業所と比較して明らかに給与が低い場合、事業所の理念や支援内容がどんなに素晴らしかったとしても応募が来づらくなってしまう可能性があります。近隣の事業所がどんな求人を出しているか、リサーチしてみると良いでしょう。
1つ目の原因として挙げた、サービス管理責任者になるための要件が厳しくなったことで、給与を上げてなんとか人材を確保しようという動きがあることも、近隣の事業所の給与相場を確認していただきたい理由の一つです。
障害福祉サービスには処遇改善加算というスタッフの給与に充てる加算もありますので、うまく活用して採用に繋げていきましょう。処遇改善加算にはいくつか運用ルールがありますが、リブレの開業支援では処遇改善加算算定のためのサポートも行っています。
また、給与設定や雇用関係などのご相談があれば、リブレでは労務関係の対応もワンストップで対応することが可能です。
今回は採用について解説してきました。
障害福祉サービスは指定基準を満たさなければ申請することができません。設備や人員など、営業できる準備が整った状態で申請する必要がありますので、スタッフの確保は極めて重要です。
特に、スタッフを採用する段階ではすでに事業所の家賃が発生していることがほとんどですので、開業希望者は採用を焦りがちです。
しかしながら、要件を満たさない人や一緒に働きたいと思えない人を採用してしまっては、元も子もありません。
(ましてや、名義貸しは論外です。虚偽申請となり、後から発覚すると指定取り消しの原因になりますので絶対にやめてください。)
最後に、ここまでは制度上の要件について説明してきましたが、最も大事なのは、事業理念や支援方針に共感してくれる人か、長く一緒に働きたいと思える人かであると思います。
特に、サービス管理責任者は事業所の要になる方ですので、資格要件の確認を確実に行いつつ、良いご縁が結べるようにサポートいたします。
次回は、必要な備品や指定申請についてご紹介します。
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