行政書士
安田 大祐
リブレグループ(行政書士法人リブレ/社会保険労務士法人リブレ/株式会社リブレキューズ)代表。北海道大学教育学部卒業後、医療法人での勤務を経て独立。障害福祉サービス事業所の立ち上げ支援や運営支援を専門としている。趣味は音楽活動や海外バックパッカー旅行。「人生一度、やりたいことをやる!」をモットーに挑戦を続けている。
[障害者向けサービス]
この記事では、障害福祉サービスのひとつである就労継続支援B型において工賃の前払いが認められるかと運用上の注意点について解説しています。
就労継続支援B型事業所の担当者の方から、「急な出費があるので工賃の前払いをしてほしいと利用者に言われたけれど、それはできるの?」という質問をいただくことがあります。
様々な物価が上昇している昨今、生活費や予期しない支出への対応として、このような疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこのことについて詳しく解説します。

結論から申し上げると、就労継続支援B型事業所において工賃の前払い制度を設けることは可能です。
ただし、この制度はあくまで「既に発生している工賃」が対象となります。
利用者が既に働いて発生している工賃の一部を、正式な支給日よりも前に受け取れる仕組みであるため、まだ通所して生産活動に従事していない分の工賃を前もって受け取ることはできません。
また、前払い制度を採用するかやその具体的な運用方法は、各事業所の判断と取り決めによって決まります。

工賃の前払い制度を導入する場合、以下の準備が必要になります。
まず、工賃規程の整備が必要です。事業所の工賃に関するルールを定めた工賃規程に、前払いの条件や手続き方法を明確に記載します。例えば、前払いできる金額の上限(発生済み工賃の50%までなど)や申請方法(○日前までに書面で事業所へ提出など)を定めておきましょう。
次に、重要事項説明書や契約書への記載を行います。利用者に説明する重要事項説明書や利用契約書にも、前払い制度について詳しく記載する必要があります。
最も重要なのは、利用者からの同意を得ることです。制度の内容を利用者本人やご家族に十分説明し、理解していただいた上で同意を得ます。
工賃の前払いを行うことは、工賃規程の整備や重要事項説明書等への記載を行い、利用者の同意を得れば可能です。
しかし、一点ご注意いただきたいポイントがあります。
生活保護を受けている利用者については、前払いが収入認定のタイミングに影響する可能性があるため、必要に応じて関係機関への確認を行うようにしてください。
工賃の前払い制度は、適切に運用すれば利用者の生活をサポートする有効な仕組みとして活用できることでしょう。
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